外国人観光客の日本人気は東京、富士山、京都というゴールデンコースが有名です。京都を訪ねた折、思わず「ここは日本か?」と外国人の多さに驚き、ホテルが取れなかったり、免税店の看板が増えたことなど、彼らが経済を熱くしているんだなあと感じました。
観光の概念に一石を投じるような観光論にであいました。
論者はデービッド・アトキンソン氏(元経済アナリスト)。彼は92年にゴールドマン・サックスに在籍中、日本で大手銀行の不良債権が巨額であることを指摘したレポートで注目されました。その後退職し、2009年、日本の文化財修復をおこなう企業のトップに転身しました。考え方は国際的だけど茶道を嗜む日本贔屓で、アナリストだけに数字を使って論ずる優秀な方です。
氏の持論のひとつに、“日本の「おもてなし」は神話”と言っています。
東京オリンピック招致決定以降、「おもてなし」は一般に日本の特別な作法であるように云われていますが、例えば老舗旅館ではチェックイン時間前には部屋に入れないことや、早目の朝食ができないこと等は「供給者の都合」が優先され「お客の都合」が足りないことを指摘しています。
「おもてなし」の少ない仏国には約8700万人の外国人が訪れますが、日本は約1340万人(2014年)。「おもてなし」は「あったほうがいいけど、なくても致命的ではない」と言っています。
また日本を代表する観光地、京都は観光客数は少ないと言っています。京都では年間約260万人の外国人が訪れますが、英国の大英博物館だけで約420万人もの外国人が訪れているそうです。観光資源の質と量を考えれば少ないとのことです。
世界の国際観光客人口は約10億8700万人(2013年)。トップの仏国のシェアが7.8%に対して、日本は0.95%で24位。因みにアジアではタイ(2.4%)を筆頭に、マレーシア、香港、中国と続き、韓国、シンガポール、そして日本だそうです。日本はアジアでも観光後進国だということです。
最近のクールジャパン人気か、政府は2020年の外国人観光客数の目標を、2000万人から一挙に3000万人に大幅修正しました。ところが氏はその3倍近い8300万人も可能であり、経済効果は約40兆円、雇用も400万人期待できると言っています。
アナリストの視点で日本の観光を分析し、世界と比較し、観光は儲かる成長産業であると提唱されてます。
かたや、日本全国の中、水を空けられた感の山陰の外国人観光客数。氏に対策を請いたいものだなあと思いました。(や)