スティーブ・ジョブズ氏の功罪

　前月の当欄でapple社ＣＥＯのスティーブ・ジョブズ氏が退任したことを記しましたが、10月5日に56年の生涯を終えました。彼の意思を継いだかのように10月14日にはiPhone4Sが発売され、両方の話題をメディアが取上げています。私共の広告・デザイン業界でも、このことが多く語られた月でした。
　前号ではジョブズ氏の功績を書かせていただきましたが、功罪もあったことを記させていただきます。

　平成の時代に変わった頃から、既存のコンピュータをマウスや（コマンドに対して）画面操作で人が描くように使いやすくしたマック（apple社製）はデザインの現場に進出し普及してきました。

　それまで、原稿の文字はデザイナーが専門用語で書体や級数（文字の大きさ）、斜体・平体などを写植屋さんに指示をして文字が出来上がりました。次にその文字や写真を版下職人が厚紙に貼ります。そして出来上がった版下をデザイナーが装飾したり、色を指定し製版屋さんに渡す作業があり、それから印刷ができます。幾多の工程と多くの職人が必要でした。写植屋はたくさんの文字の中から素早く見つけて文字を打ち、版下づくりは大小数々の種類の文字を並べ、調整して貼り込みます。さらに製版職人なども必要でした。新聞社や出版社、また地方都市の町中にはたくさんの人々がそれを生業としていました。

　松江では殿町周辺を歩くとタンタンと文字を打つ音や、カタカタと印刷機が回る音がしたものでしたが、最近は聞えなくなりました。
　マック（apple社）の出現により、写植・版下・デザイン・製版などの企業や職人は減少してしまいました。

　もしもジョブズ氏が居なく、Dos-VのPC、ウインドウズOSだけだったら、このような変化は10年程度は遅れていたと思われます。
　日本全国、世界中でたくさんの職人達の仕事がマックに取って変わりました。新しくマックを憶え、電子化に対応する職人がいる一方で廃業（失業）する人達もありました。

　私共デザイン・制作・印刷業界はマックが席巻し、同時に進んだ携帯電話やネットの普及より、職人の作業範囲が広がり、その上、いくつかの工程をマックでおこなうので工期が短縮化し、以前に比べとても忙しくなりました。（や）

第６回ゆるキャラカップin鳥取砂丘

　第６回ゆるキャラカップin鳥取砂丘が１０月１５日（土）、１６日（日）の２日間鳥取砂丘周辺及び鳥取駅前で開催されました。

　今年は、北は東日本大震災のあった福島県は福島市観光物産協会の「ももりん」や茨城県の「ハッスル黄門」から、南は福岡県の「かわりみ千兵衛」まで全国から５９体のゆるキャラが鳥取砂丘に大集合しました。

　１５日は、鳥取砂丘でゆるキャラとお楽しみ大会や鳥取駅前でゆるキャラパレード、１６日は、鳥取砂丘オアシス広場でさわやかな秋晴れの下、ゆるなわとび、ゆるすもう、ゆるかけっこなどゆるキャラ界の王者を決める笑いあり、涙ありの大運動会などが行われ、滋賀県から初参加の野洲市観光物産協会の「ドウタクくん」が総合優勝を飾りました。また、恒例の人気投票では全国豊かな海づくり大会の「ととリン」が1位を獲得しました。

　もともと鳥取県観光連盟の東部ワーキンググループで鳥取砂丘をPRし、県外から誘客を図る目的で6年前に始まった事業ですが、今では認知度も増し恒例行事となっています。若干ですが、ゆるキャラを通じた交流も行われ、ネットワークも広がりつつあります。私も実行委員会のメンバーの一人としてとてもやりがいを感じています。

　今後も鳥取県の観光の目玉の一つとして、ゆるキャラを通じ、県外に鳥取県をPRしてネットワークを広げていきたいと思います。（し）

弊社社員が気がついた　「ちょっといい話」を連載しています

　「お城の見える博物館」として今年の３月１９日にオープンした松江歴史館。私もお手伝いさせていただきました。開館前に館内に入ることができたのでいい話を教えてもらいました。そこで、面白いコネタ少し。

「お城の見える博物館」がキャッチコピーの松江歴史館ですが、館内のどこからでもお城が見えるという訳ではありません。一番目のポイントは日本庭園のある大広間です。腰をおろさないとお城は見えないのです。これは、来ていただいたお客様にお茶でも飲みながらゆっくりと寛いでください、と言う粋なはからいです。昔の人も同じ目線でお城を眺めていたのでしょうか？

　次に、基本展示室のどこかに小さなハートが隠されています。よくよく目をこらして見ると見えてきます。

　さらに、基本展示室横の花の彫刻。実は和菓子でできているのです。松江の歴史を紐とく博物館、松江歴史博物館。ぜひ実際に訪れ、隠されたお楽しみを体験してみてください。 （さ）