「スタバが無くても日本一のスナバがある」と、笑いと話題を集めた鳥取県の平井知事。その後、スターバックスコーヒーが鳥取に進出すると「スタバが来るなら勝手にスナバ(すれば)」と応戦、さらに「勝手にスナバキャンペーン」と銘打って、知事自ら「砂掛けババア」の横にアラビア衣装姿で鳥取砂丘のキャンペーンをおこなう程。知事のギャクはテレビや新聞、ネット等に広がり、話題性にも富んで、「日本一忙しい知事」と評判です。
「スナバ」が話題になってから、4月に営業開始した「すなば珈琲」駅前店は、観光客で賑わう賀露港など、今は市内に4店を持つ企業に成長。一方の本家「スタバ」は、5月に日本最後の県に出店という話題性もあり、開店日は長い行列ができました。対抗する、「すなば珈琲」はこのことを「黒船来航」に見立てて「大ピンチキャンペーン」を打ち、話題が盛り上がって、全国版メディアに数々取り上げられました。
私が訪ねた今夏には、入店する順番待ちの人達や店舗前で記念写真を撮る方の姿が見られ、まるで観光名所のようでした。
その後、知事は「セブン・イレブンがなくても『いい気分』になります」や「ドンキが無くてもノンキに暮らせる(鳥取県)」とチェーン店を意識した発言なども連発。山陰に初進出するドンキは出雲に出店が決まっていますが、鳥取県進出となったら、どんなギャグが発せられるか楽しみです。
このオヤジギャクプロモーションは「行政に頼らずお金をかけないでできるプロモーション活動」として、「富士宮焼きそば」学会長の渡辺英彦氏が手掛けられました。氏は「天下分け麺の戦い」「やきそばG麺」「三者麺談」「三国同麺」などの歴史・リアルギャクや、組合や協会をつくるなら「学会」にしたほうがマスコミの受けが良いという知能派。「富士宮焼きそば」が評判になり、地域経済を活性化させました。さらに、全国の「B-1グルメ」を手掛け、全国に波及するきっかけをつくられました。
その「富士宮焼きそば」方式を継承した平井知事。知事という発信力の強さと、戦略的で柔らかく・楽しめるオヤジギャクはさらに磨かれ、有名お笑いタレントと掛け合いをテレビキー局で放送されたことも…。
最近は、「鳥取県は蟹取県に改名」し、「ウェルカニキャンペーン」は「蟹取県にウェルカニ」と県の観光戦略もギャグ路線化されています。その本気度も進化し、県のホームページに「改名」宣言を載せる程。ギャクで注目され、特産品や宿泊などにリンクする戦略は見事です。
来場者や売上アップをオヤジギャグで貢献した平井知事。評価も上昇中で、「次期東京都知事候補に!」と呼び声もありますが、さて「ウェルカニキャンペーン」の売上結果の程は、いカニ?。(や)